レジルのIPO物語:第二の創業を迎えた私たちの広報活動奮闘記
こんにちは。
「脱炭素を、難問にしない」をミッションに掲げるクライメートテックカンパニー、レジル株式会社の広報担当の里田です。
レジルはおかげさまで、創立30周年を迎える2024年の4月24日に、東証グロース市場に新規上場(IPO)することができました。
言うまでもないことですが、IPOは会社にとって一度しかないイベント。人生の中で広報担当としてIPOに関わることができ、本当に貴重な機会に恵まれたと思っています。一方で、分からないことばかりで緊張と不安の連続だったというのも正直な気持ちです。だからこそ、これからIPOを見据えている企業の方々、レジルが将来プライム市場に市場変更する際の担当メンバーにとっての参考書になればと思い、上場日まで何をやったのか、どんなことがあったのかを記事にまとめてみました。
承認日までの活動
承認日までの期間は、情報収集、タスクの洗い出し、役割分担決めに徹しました。
上場承認日から上場日までは一般的に約1か月しかありません。いざ承認されたらすぐに動き出せるように、承認日までの期間に落ち着いて情報を収集・整理し、想定されるタスクを把握しておくことはとても大事です。
1. IPOイベント企画・実行プロジェクト「LR」を発足
まず最初にやったことは、IPOに向けた各種イベントの企画・実行を担うプロジェクトの発足。
その名も「LR」。Listing REZIL=レジル上場が由来です。
向き合うステークホルダー別に、IR(桑原)、広報(新開・里田)、HR(須山・中谷)のチームメンバーを招集し、プロジェクトマネージャー(中嶌)が全体を俯瞰する構成です。
LRプロジェクトの各メンバーの役割はざっくりと下記の通り。
プロジェクトマネージャー
プロジェクト全体の進捗管理とメンバーのバックアップ
IR
IR関連の各種資料作成と開示対応
IRサイトの構築
主幹事証券等との連携
承認後のロードショー実施
広報
従業員・来賓への情報共有
上場セレモニー、記者会見、ストックボイス出演の準備・運営
プレスリリース等の資料作成
記者会見へのメディア誘致
広告出稿対応
HR
IPO祝賀会の企画・運営
IPO記念ノベルティの制作
役割は決めていたものの、チームの枠を超えて協力し合いました。
そしてプロマネが常に進捗を見守ってくれていたおかげで、大幅なタスクの遅延も起きず、スムーズに進行できました。
2. タスクの洗い出しと役割分担を決める
IPO準備期間は大きく分けて以下の3つのフェーズに分けられます。
承認日まで
承認日~上場日まで
上場当日
LRメンバーは、各フェーズでどんな活動が必要となり得るかを他社の事例などで情報収集をしながら、タスクを洗い出しました。
当社ではやるのかやらないか、どの規模でやるのかが不確定なものもありましたが、ひとまずはすべてタスクに入れていきます。
あとで検討してタスクを減らすことは容易ですが、増えると対応しきれなくなる可能性があるからです。
note広報もりもとあいさんをはじめ、たくさんの先輩方から知見をお借りしました。とても助かりました。ありがとうございます。
3.IPO当日まで積極的な情報発信をおやすみ
本格的なIPO準備時期に入ると、上場日を迎えるまで情報発信を慎重に行うことが求められます。企業によって方針はさまざまかと思いますが、レジルは情報発信とメディア露出を極力控える方針となりました。
ニュースリリースの発信は休止。メディアの方々から取材の問い合わせをいただいた際は、会社の成長性を示すような未公表情報を開示しないよう留意しながら対応させていただきました。
なお、メディアの方々の取材のご意向に沿えないところがあったからこそ、社長からの今後の戦略説明や質疑応答ができる最速の場である上場記者会見へのご案内は早めに行いました。
承認日以降の活動
承認発表の日。15時頃に日本取引所グループのサイトで「新規上場会社情報」が更新されたら、初めて兜倶楽部を訪問して発行決議や業績の資料を投函する業務があります。
そして、いよいよIPO当日のイベントに向けた怒涛の準備の始まりです。
1. 従業員や来賓への告知
上場承認がおりたとはいえ、IPO当日までの間に取り消しになるケースもあります。そのため承認日には、従業員に対して承認の事実の報告とともに会社情報の管理についての注意点を伝えました(お祝いモードはIPOのその日までおあずけです)。
一方で、創業以来レジルの礎を築いてくださった方々や従業員に「上場セレモニー」に立ち会ってもらい、IPOの瞬間を共にしたいというのが社長 丹治の考えでした。
上場セレモニー出席者は上限20名、見学者(2階の回廊から見学、セレモニー終了後は写真撮影のために合流できる)は上限30名までと決まっているのですが、5打目を打鐘できる2名の出席者と見学者は希望を募り、多くの従業員に参加してもらうことができました。
2. 上場セレモニーの準備
上場セレモニーの出席者は20名、2階回廊からの見学者は30名、そして証券会社の方は5名までとなっています。出席者のうち誰が打鐘をするかも含め、事前に東証に届出が必要です。
セレモニー参加者が確定したら、全員が身に付けるコーポレートカラーアイテムの発注やセレモニー中のや写真撮影時の隊形を決定するなど、準備を進めていきました。
レジルは、2023年に中央電力から社名とロゴを変更し、コーポレートカラーをターコイズブルーにしたので、男性用にこの色のポケットチーフ、女性用にスカーフを発注しました。
東証側で出席者・参加者用にお花の胸章をご用意して下さいますが、付けなくてはいけない決まりではないそうです。
写真撮影時に持つロゴパネルは、持ち込みできる上限サイズはH90cm × W270cmとのことでしたので、レジルではH70cm × W200cmのかなり大きいサイズで作成しました。
ただ、運搬時などの破損リスクがこわい(他社広報さんに、バリっとやってしまった例もお聞きし・・)ので、アルミ複合版加工をしてあるタイプにしました。
ご心配な方は検討してみてください!
3. 上場記者会見、ストックボイス出演の準備
上場セレモニーとストックボイス出演の時刻は、承認後まもなくお知らせをいただけます。
上場記者会見の時刻は自社で決め、兜倶楽部にて予約が必要です。
なお、会見会場の使用ルールは以下のようになっています。
記者会見もストックボイスも、事業内容・強み・今後の戦略などを社長からお話する場であることは共通ですが、
記者会見内容:総合メディア・専門メディアを通して広範囲のステークホルダーに届く
ストックボイス:投資家の方々への直接メッセージ
という違いがあります。
また、ストックボイスの投影資料は視聴者の方々が判読できるようにフォントサイズの指示や枚数の制限がありますので、大きめの文字でスッキリしたスライドにする必要があります。
記者会見資料とストックボイスの投影資料の作成は、訴求ポイントを少し変えながらIR桑原さんが担ってくれました。
記者会見、ストックボイスとも、本番1週間前くらいにリハーサルを行いました。本番さながらにリハーサルを行ってみると、こうした方がいいな、これを追加した方がいいなという点が見えてきます。
ただ、リハーサルが直前すぎると修正する時間がとれない可能性があるので少し余裕をもつと良さそうです。
記者会見のリハーサルでは、私も含め5名が記者役を務めましたが、人によって想定する質問の方向性も異なるので、あらゆる質問に対応できるようになるべく多くのメンバーに記者役をやってもらってよかったと思います。
記者会見の想定Q&Aには、社内メンバーが想定した質問はもちろん、承認後のロードショーで投資家の皆さまからいただいた質問項目も入れ込んで会見に臨みました。
4. メディアの方々の会見誘致、問い合わせ対応
上場前の取材対応は制限していましたので、上場日の約1ヶ月前には上場記者会見のご案内を始めました。おかげさまで、総合媒体、専門媒体の記者の方々にお集まりいただくことができました。
また、会見開始直前に兜倶楽部受付からアナウンスを流すことができるのですが、これは効果があります!開始3分前に流したアナウンスを聞き、3名の記者が駆け込んで来てくださいました。準備でバタバタしていると忘れてしまいそうですが、必ずやった方がいいことです。
【番外編】 日本経済新聞 全面広告出稿
実は、一度はIPOタイミングの新聞広告の出稿を見送る判断をしていました。しかし、このタイミングにこそレジルの会社名だけでなくミッションを広く知っていただこうということになり、急遽、日経新聞の15段広告を出稿のデザイン作成に奔走!
そして候補3案の中から従業員アンケートを実施し、回答者の約7割が推したクリエイティブに決定しました。
従業員の皆さんもインパクトある全面広告掲載を喜んでくれました。
日経新聞の広告紹介をするXでもご紹介いただきました。
上場当日の動き
いよいよ迎えたIPO当日の動きをご紹介します。
主な上場当日のスケジュール
8:45 幹事証券会社へのご挨拶
10:30 ストックボイス出演
11:00 上場セレモニー
12:00 兜倶楽部に資料投函、プレスリリース公開
14:00 上場記者会見
17:30 IPO祝賀会
AM 8:45 幹事証券会社へのご挨拶
幹事証券会社を訪問!初値を確認。
AM 10:30 ストックボイス出演
証券会社から東証へと移動し、丹治はストックボイスの出演へ。
レジルについての説明と今後の成長戦略についてお話させて頂きました。
ストックボイスを視聴したマンション理事会の方がマンション防災サービスの内容と丹治の熱意に感動し、翌日問い合わせをくださるなど、うれしい反響がありました!
丹治がストックボイスに出演している頃、東証のエントランスでは、
・参加メンバーに対して広報からコーポレートカラーアイテムの配布
・東証のご担当者からバッジの配布
が行われていました。
AM 11:00 上場セレモニー
社長の丹治は、ストックボイスの出演を終えると急いで上場セレモニー会場のオープンプラットフォームに向かいます。
いよいよスタートです。
上場通知書の受け取りを終えると、打鐘の時間です。
鐘を5回鳴らすしきたりは、「五穀豊穣」という繁栄を祈願する伝統が由来だそうです。
レジルは1回あたり2人ずつ、計10名が鐘の音を響かせました。
最後の一打は、希望する従業員の中から抽選で選ばれたおふたり。一番力強い音でした。
打鐘が終わると、フリータイム。2階回廊にいた見学者も合流し、自由に写真撮影です。
チッカーやスクリーンの「レジル」の表示は30分間限定です。11時30分には消えてしまうので、思い残すことのないようバシャバシャと撮影することが大事です。
上場セレモニー終了後は解散。IPO祝賀会まではそれぞれの業務に戻ります。
レジルの新オフィスは東証から徒歩圏内なので、東証から徒歩2分のところにある「KABUTO ONE」のIPOお祝いサイネージ放映を眺めてから、オフィスに戻ります。
12:00 兜倶楽部に資料投函、プレスリリース公開
プレスリリースの公開時刻は、会社によってさまざまなようですが、レジルの場合、幹事証券会社から上場セレモニー → 兜倶楽部に資料投函 → プレスリリース公開の順番で行うよう指示をいただいていました。
投函資料は、会社案内、決算情報等のお知らせ、プレスリリース、代表者略歴、顔写真(名刺サイズ・裏面に社名と代表者名)などを1セットにするため、数十部用意すると荷物の嵩も重量も大きくなります。
運搬時は、肩にかける持ち手があり、大容量収納でき、使用後はたためるバッグが重宝します!(私は、布団も入れられる収納バッグを使用)
14:00 上場記者会見
東京証券取引所ビルの地下1階にある兜倶楽部にて上場記者会見を実施。レジルについての説明、今後の成長戦略等について社長の丹治よりお話させていただきました。
記者の方々にたくさんのご質問をお寄せいただき、記事でご紹介いただきました。
17:30 IPO上場祝賀会!
さて、やっとお祝いモードを全開できる祝賀会です。
慰労・感謝・新しいスタートをテーマに、HRチームの皆さんが企画、運営。
東京会場と大阪会場の二拠点を中継で結び、一堂に会すことができました。
外部の制作会社に事前に撮影していただいていた、取引先様のインタビューとお祝いメッセージ、上場セレモニーの様子、従業員の皆さんの「おめでとう」の声の動画が流れ、一同、感慨無量でした。
樽割りや打鐘のコンテンツなどのコンテンツも目白押しで、興奮冷めやらぬまま、あっという間に祝賀会を終えました。
絶妙に盛り上げてくれた司会者の皆さんには脱帽です。おつかれさまでした!
最後に、今回のIPOに際しまして、お祝いのお言葉やお花を贈ってくださった皆さま、そして日頃よりお世話になっている皆さま、改めてありがとうございます。
IPOを迎えることができたのはみなさまのご支援のおかげです。
私たちにとって、IPOは第二の創業の始まりです。
「脱炭素を、難問にしない」というミッションのもと、人・企業・自治体がいつも通りの活動をするなかで脱炭素を実現できることを目指し、デジタルの力でエネルギーを最適化するサービスを提供してまいります。
そのためにも、レジルの事業や思いに興味をもち、共感していただける方々を大募集しております。
少しでも気になる方は、採用情報をのぞいてみていただけたらうれしいです。
【採用情報】はこちら ↓↓